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うーむ、感慨を新たにした。凄いなとひれ伏すのみ。
再読である。初めて読んだ時のちんぷんかんぷんさを脱して、今では、作者の気持
ちが手に取るようにわかってしまう。文字を追いながら映像がしっかりと脳内に広
がってゆく。知らぬ間にそんな域に達している自分に驚いた。
だから、だ、ラストの凄まじい展開がまるで映画を観るように〈見える〉。それは
鏡花氏の文章の力だ。絢爛美麗な日本語(ことば)を滋味深く堪能し味わい、人間の
想像力をはるかに超越する幻想怪奇な世界に圧倒され慄く。開かれた本のページに感
動の嘆息を漏らすしかないのだ。ああ、凄い。
寺山修司監督の『草迷宮』がツマラナイものに思えてきた。DVDで所持していて、
結構好きで、5回は観たのだけれど。なんでツマラナイということになってしまった
のかというと、鏡花さんの原作は、限りなくやさしく、切ないのである。別作品だ
な。寺山氏のものは、憎しみだ。