2022年11月05日

映画『ソングス・フォー・ドレラ』

winmail.dat
 監督・エドワード・ラックマン、1990年、アメリカ映画の、2021年4Kレストア版の
2Kでにお上映。4Kレストア版とか2Kの意味は、私は知らない。画面がより美しいと
か、音がクリアーだとかいうことなんだろうと想像する。

 『ヒューマン・ボイス』に対する怒りをどうなだめたらよいのかわからないまま
に、『ソングス・フォー・ドレラ』の上映までの1時間半をやり過ごす目的で持参し
た西村賢太の長編小説、『蠕動で渉れ、汚泥の川を』

を、長居をさせないためなのか、やたら硬いベンチに腰かけてページをめくり始め
る。芥川賞作家になってからは読まなくなっていたけれど、逝去されてから再び気に
なりだして、未読の単行本を古本で集め始めた。現在、病みつき中なのである。やは
りオモシロくて読み耽るあっという間に、次の上演時間が近づいた。

 実は期待していなかった。が、先ほどのクズ映画とはまさに対極の、これ以上ない
簡潔さ、清潔さで、アンディ・ウォーホルとルー・リード、ジョン・ケイルとの愛憎
に満ちた関係性が、悲しいほど美しく表現されていて、胸が熱くなる。最後の曲で、
私は落涙した。音楽映画、というジャンルはあるのかどうかは知らないが、まさにそ
のジャンルで、これは大傑作ではなかろうか。

 『蠕動で渉れ、汚泥の川を』は、途中下車ができなくて、深夜までかけて読み終え
た。これまた、違う意味で震えました。次は『芝公園六角堂跡』を手にする予定だ
が、あと『瓦礫の死角』しか手持ちの未読〈西村賢太本〉がない。あと20冊くらいは
まだ購入できていないので、古本屋やネット書店などで購入しなければならない。な
んでか、ものすごく高価なのである。



 昨日の作文にある「この大きな祖語に、ひたすら戸惑う」の「祖語」はもちろん
「齟齬」の変換ミスであります。あともう一か所、「その録音をレコードを2種類
持っている」は「その録音をレコードで2種類持っている」であります。こんなマチ
ガイが日々、頻出しているブログであります。
posted by yu-gekitai at 10:44| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする