2023年12月30日

29日(『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を観た。)

winmail.dat
1990年、イギリス映画、脚本+監督 トム・ストッパード、1990年ヴェネチア映画祭
グランプリ(金獅子賞)受賞作品。

1966年に初演された戯曲を作者自身が映画化。シェイクスピアの『ハムレット』を、
超端役で登場する(登場していないに等しいのだが)ローゼンクランツとギルデス
ターンのコンビふたりをを主人公にして、ドラマの裏側からみたら、という作品だ。

主人公のふたりの会話が、事情が呑み込めないままに無駄に(ということではないん
だろうけれど)進行してゆく。それがジョークだったり、ダジャレだったりするもの
で、ドラマに入り込むのがしんどい。原作が舞台作品だからだろう、台詞の洪水であ
る。哲学的なことを会話しているんだろうかと、ふと思ったりもするが、どうもその
主人公ふたりは、あまり利口ではない人物のようだ。

ストッパードについて調べてみたら、

「哲学的主題を扱う観念的なものであるが、言葉遊びと明瞭なユーモアと哲学的観念
が結合するところに特徴がある。駄洒落、ジョーク、その他さまざまな言葉遊びを組
み合わせた複雑なせりふ回しが、ストッパードの特徴である。また過去の作品のパロ
ディの愛用もストッパードの作劇法の特徴」

とあった。特徴、特徴と並べ過ぎじゃないかと思うが、うまいことその特徴をあらわ
していると思う。

で、映画の感想はというと、オモシロかった、となる。もう一度観たいと思う。台詞
は(あくまで日本語字幕での、だけれど)好きではないけれど、衣装や美術をはじ
め、アンサンブルを主体とした俳優たちの演技、演劇的な演出が素晴らしく、うっと
りと見惚れてしまった。『ハムレット』が土台としてあり、そのうえに映像美があ
る。

繰り返し鑑賞することによって、この映画のオモシロさが倍加してゆくのかもしれな
いという予感。
posted by yu-gekitai at 10:03| 京都 | Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月24日

23日(『パーフェクト・デイズ』を観た。)

winmail.dat
2023年、日本+ドイツ合作映画、脚本 ヴィム・ヴェンダース+高崎卓馬、監督 ヴィ
ム・ヴェンダース。

主人公の日常を俯瞰することによって、自身の人生が愛おしくなる。自身の日常に対
して背筋がピンとなるというか、精神が浄化されてゆく映画。それに、音楽映画、っ
て側面もあるんじゃないだろうかというくらい、音楽の比重が大きかった。しかも私
の好きなアーティストばかり。11曲中9曲はレコードで持っている、という、選曲し
たヴィム・ヴェンダース監督との趣味の一致。選曲にあたっては、主人公・平山が聴
くはずのない音楽は使用しない、という縛りを設けたようで、言い換えれば、主人公
が好んで聴くであろう楽曲が選ばれているということになる。ということはつまり私
は、主人公と重なっている部分を持ち合わせているのだろうか、なんてね。ラスト
の、ニーナ・シモンの曲をバックに、木漏れ日のように表情が揺れ動く役所広司さん
に、ヤラレタ。ユナイテッド・シネマ岸和田にて。
posted by yu-gekitai at 11:18| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月23日

22日(『寺子屋』を観た。)-

『菅原伝授手習鑑』より四段目『寺子屋』の段を観た。松王丸・八世 松本幸四郎(現・白鷗)、武部源蔵・十三世 片岡仁左衛門、戸浪・中村芝翫、千代・二世 中村鴈治郎、1975年、歌舞伎座での録画、NHKで放送されたもの。ツッコミどころ満載だけれど、それが歌舞伎のオモシロさだと私は思う。所作や顔の演技、足の運び、間と息など、何度も繰り返し見たい箇所がある。勉強として観たのではないけれど、勉強になる。

posted by yu-gekitai at 09:36| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月22日

いつもいつもマチガイだらけでスミマセン。

日本でのタイト表記は『パリ, テクサス』だけど、韻を踏んで『パリス, テキサス』
であるべきだと思った。別にフランスのパリは関係ないんだし。



日本でのタイトル表記は『パリ, テキサス』です。失礼いたしました。
posted by yu-gekitai at 09:13| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

21日(『パリ, テキサス』を観た。)

1984年、西ドイツ+フランス合作映画、脚本 L・M・キット・カーソン+サム・シェ
パード、監督 ヴィム・ヴェンダース、音楽 ライ・クーダー、第37回カンヌ映画祭グ
ランプリ受賞作(今ではパルム・ドールと呼ぶ方が一般的のようです)。

孤独、不安、焦燥に彩られた登場人物たち。それは愛に苦しんでいるがゆえに、だ。
7歳の少年ハンターを演じるハンター・カーソンくんが素晴らしすぎる。彼は脚本家
の息子さんだそう。全編にわたるライ・クーダーのスライド・ギター。ドイツ人監督
によるアメリカの原風景。2時間半近くもあるが、ストーリーはいたってシンプル
だ。ラストは、やっぱり泣いてしまいました。サム・シェパードの原作本は持ってい
るはずなので、倉庫から探し出して、もう一度読んでみよう。
日本でのタイト表記は『パリ, テクサス』だけど、韻を踏んで『パリス, テキサス』
であるべきだと思った。別にフランスのパリは関係ないんだし。
posted by yu-gekitai at 08:59| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月19日

17日(『ベルリン・天使の詩』を観た。)

winmail.dat
1987年、西ドイツ+フランス合作映画、脚本+監督 ヴィム・ヴェンダース、第40回
カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞作。もうすぐ最新作の『パーフェクト・デイズ』が公
開されるので、その予習もあるのか〈なめくじ酒場〉では、ヴィム・ヴェンダース特
集をやっている。

大袈裟な物言いかなとは思うけれど、モンスター級のものすごい映画である、と思
う。悪くいえば、単純な思いつき、のようなことが説得力を持って映画としての芸術
性を損なっていないこと、そしてピーター・フォークがピーター・フォークその人と
して映画の中での虚構として成立してしまっていること、この2点は驚嘆に値する。
全体はセンチメンタルな叙情に貫かれている。モノクロとカラーの使い分けは、最
初、戸惑ったけれど、天使の視点とニンゲンの視点の差異であろう。
posted by yu-gekitai at 07:47| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月16日

15日(『四つの署名』を観た。)

winmail.dat
1983年、イギリス映画、デスモンド・デイヴィス監督。アーサー・コナン・ドイル原
作の、シャーロック・ホームズものの長編作品の映画化。だけれども、私は原作を、
ホームズ物の中では平均点以下のものではないかなと疑っている。まあ、映画は別物
なので。

翌84年から始まるグラナダTVの、ジェレミー・ブレット演じるホームズのシリーズが
好きなもので、どうしてもくらべてしまう。この映画でのホームズのイアン・リ
チャードソンも、ジェレミー・ブレットと同じく、シェイクスピア劇の舞台俳優さん
だそうだが、ジェレミー・ブレットの方が色気があって神経質そうでホームズっぽく
て、私は好きだ。というか、ほぼ全作品を観てしまっているジェレミー・ブラットの
ホームズが刷り込まれているからかもしれない。しかしこの映画でのホームズもワト
スン先生も、あまり好きになれなかった。

読み直さないと確認できないけれど、この映画ではラスト・シーンが原作と異なるの
ではないかと思う。原作の方がカッコええのに。
posted by yu-gekitai at 17:57| 京都 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月15日

14日(『真昼の決闘』を観た。)

1952年、アメリカ映画、脚本 カール・フォアマン、監督 フレッド・ジンネマン。ア
カデミー賞4部門受賞作品。テンポよく、緻密な脚本と演出でニンゲンが良く描かれ
ている。ラストまでシリアスなリアリズムが貫かれてていて、切れ味鋭い。ティオム
キンの音楽が印象に残る。

この映画は、小学生くらいの頃、亡き父と一緒にテレヴィで観たような気がするのだ
が、記憶違いの可能性もある。
posted by yu-gekitai at 16:43| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月14日

13日(またしても『地獄』を観た。)

第30回OMS戯曲賞敗退で、最終候補となるも絶賛11連敗中により、この世の地獄を見
ているというわけではありませんです。9連敗したところの一昨年あたりで、あきら
かに達観してしまっていて、昨年も、今年も、日常のひとつの景色にすぎず、〈残念
会〉というイヴェントが開催できてよかったなあ、という感じです。

1960年、新東宝、脚本・中川信夫+宮川一郎、監督・中川信夫。オリジナル『地獄』
です。この後、2回リメイクされており、昨日の〈なめくじ酒場〉での上映作は、2回
目のリメイク作になります。

石井輝男監督の作品と、どちらが、となりますと、ドラマの質や俳優の演技など、当
然のごとくコチラの方が優れている、と言わざるを得ませんが、私としましては、ど
ちらも〈好き〉です。天地茂さんをこの世の地獄にひきずり込む、メフィストフェレ
ス的な役割の沼田曜一さんの演技は、すさまじいのひとことですね(楽しそう)。
posted by yu-gekitai at 10:07| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月13日

12日(『地獄』を観た。)

昨日のOMSの公開選考会で地獄を見た、というわけとちゃいますよ。夕方5時から、ほ
ぼ毎日呑んでいる〈なめくじ酒場〉に、映画館ができたのです!

1999年、石井プロダクション+オーピー映画、脚本+監督・石井輝男。今回、2度目
の鑑賞だが、初めてのときよりもオモシロく観た。ツッコミどころ満載だが、監督の
ドラマツルギーは揺るぎなく強靭で、なおかつ細部も楽しい工夫に満ちている。天才
か、究極の職人か、はたまた狂人か、って感じ。

初めて観たときにパンフレットを購入した記憶がある。レコードと本とですさまじい
状態の倉庫の中の、どこかにあるだろう。探してみよう。
posted by yu-gekitai at 09:51| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

11日(連敗記録更新中。)

winmail.dat
第30回OMS戯曲賞敗退。すでに9連敗の時点で、私は、受賞するというイメージには全
くリアリティを感じなくなっていた。イメージ通りの、破竹の11連敗継続中。

天満橋で、残念会という名目の呑み会。だけど、楽しい呑み会。来年9月に、旗揚げ
公演を予定している、熊取劇倶楽部日輪草の方がたも交えて。

日輪草さんは、今回の私の候補作であった『灯灯ふらふら』で、旗揚げする。
posted by yu-gekitai at 09:13| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月06日

3日(インタビューを受けた。)

「若年層の舞台芸術離れ」を主題とした、調査研究のためのインタビューを受けまし
た。京都兵術センター近くの居酒屋にて。

テープが回っているにもかかわらず、気軽に楽しくおしゃべりできたのは、インタ
ビュアーのおふたりの研究者の方がたから感じた誠実さと、パンダさんが帯同してく
れたからだ。

意外なこともしゃべってしまったなあ。パンダさんも、いや今や劇団員のだれもが知
らない遊劇体結成の経緯や、二度に及ぶ劇団分裂の顛末など。

言ってはいけないようなこともしゃべってしまったり勘違いもあるかもしれないの
で、文章になったときのゲラ校正では、慎重になろうと思う。
posted by yu-gekitai at 18:39| 京都 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする