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2023年、日本+ドイツ合作映画、脚本 ヴィム・ヴェンダース+高崎卓馬、監督 ヴィ
ム・ヴェンダース。
主人公の日常を俯瞰することによって、自身の人生が愛おしくなる。自身の日常に対
して背筋がピンとなるというか、精神が浄化されてゆく映画。それに、音楽映画、っ
て側面もあるんじゃないだろうかというくらい、音楽の比重が大きかった。しかも私
の好きなアーティストばかり。11曲中9曲はレコードで持っている、という、選曲し
たヴィム・ヴェンダース監督との趣味の一致。選曲にあたっては、主人公・平山が聴
くはずのない音楽は使用しない、という縛りを設けたようで、言い換えれば、主人公
が好んで聴くであろう楽曲が選ばれているということになる。ということはつまり私
は、主人公と重なっている部分を持ち合わせているのだろうか、なんてね。ラスト
の、ニーナ・シモンの曲をバックに、木漏れ日のように表情が揺れ動く役所広司さん
に、ヤラレタ。ユナイテッド・シネマ岸和田にて。