2024年01月30日

29日(『裸のランチ』を観た。)

winmail.dat
1991年、イギリス+カナダ合作映画、原作 ウィリアム・S・バロウズ、脚本+監督
デヴィッド・クローネンバーグ。翌1992年の日本での公開時に映画館で観ている。パ
ンフレットも大きなポスターも持っている。映画がオモシロかったので購入したので
はない。映画の宣伝のお手伝いをして、もらったのだ。招待券で観た。この時期から
何年間か、いくつかの映画の京都上映の、制作のお手伝い的な役割をしていた。

初めて見た時の印象は、よくできた映画だと思ったが、自分とは距離のある、共感で
きない映画という印象だった。

〈なめくじ酒場〉で上演されるので、あまり期待もせず、ホッピーや冷酒を呑みなが
ら観た。32年ぶりに観た今回は、ストーリの流れがはっきりと見えた。原作はさてお
き、つまらないハナシだと思った。麻薬中毒者主観の映画だから共感のしようもない
し、ツッコミどころも多い。原作者の分身が『裸のランチ』という長編小説を完成さ
せる、という物語であるからして、芸術を創造する過程の神秘性を描いたといえなく
もないが、32年前の、確か三条河原町の朝日シネマで観せていただいたときと、全く
同じ印象だけが残った。
posted by yu-gekitai at 11:10| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月28日

23日(『白昼の通り魔』を観た。)

1966年、松竹映画、原作 武田泰淳、脚本 田村孟、監督 大島渚。犯罪をあつかった
ドラマだけど、ミステリーという感じはしない。犯人と、犯人と関係を持った2人の
女との、三角関係のひりひりする心理劇。農村と都会の対比、生き残る者と死んでゆ
く者。死を選びながら2度も生き残った主人公の、生命力の力強さが、戦後の日本の
新しい風景とつながるのかもしれない。

テンポの良い展開、カットバックの多用、異常なクローズ・アップ、モノクロ映像の
光と影、鏡の意味ありげな使用など、演出が尋常でない。
posted by yu-gekitai at 16:07| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

22日(『ミステリー・トレイン』を観た。)

winmail.dat
1989年、アメリカ映画、脚本+監督 ジム・ジャームッシュ、89年のカンヌ映画祭
で、最優秀芸術貢献賞というのを受賞している。

構成がオモシロく、3組の登場人物たちのそれぞれの出来事が、オムニバス形式で描
かれるのですが、各3つのストーリが同時進行しており、お互いに影響しあうという
カラクリ。ただ、ドラマとしては、そんな大した内容ではないように私は思った。

俳優として、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスやザ・クラッシュのジョー・ストラ
マーが出演しているし、音楽はラウンジ・リザーズのジョン・ルーリーだし、エル
ヴィス・プレスリー(工藤夕貴がファン)、カール・パーキンス(永瀬正敏がファ
ン)、サン・スタジオ(エルヴィスやカール・パーキンスが録音したスタジオ)など
も、ドラマのちょっとしたピースになってはいるし、音楽映画としての要素もある。
夜のメンフィスのうら寂しさに郷愁がつのる。

私は、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスがわりと好きでLPも持っていますが、「お
前を呪ってやるぜ」はカッコいいですし、「便秘のブルース」は爆笑もの。みなさん
(いったい誰?)、よかったら聴いてみてください。
posted by yu-gekitai at 15:03| 京都 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

21日(『全身小説家』を観た。)

1994年、疾走プロダクション、監督+撮影 原一男。キネマ旬報1994年度ベストワン
日本映画作品賞第1位。原監督の前作があの『ゆきゆきて、神軍』なわけであります
から、ある予感めいたものを感じながら2時間37分を観るわけです。その予感は徐々
にそこここに姿を現し始め、大きな疲労感とともに観終えることとなるわけです。オ
モシロい映画だった。だけど、もう一度観たい、とはならない、私の場合は。

主人公の不気味さばかりが漂い続ける映画なのだ。自分の経歴をフィクションで粉飾
して、自作の小説や詩の根幹の部分をそのフィクションに委ねている。業のきつい人
だなあと思うけど、そう思わされるのもまた〈嘘つきミッチャン〉によるフィクショ
ンに踊らされていることになるのかもしれない。私は小説家井上光晴は、好きになれ
ない、というより、怖ろしい。
posted by yu-gekitai at 13:01| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

16日(『イージー・ライダー』を観た。)

1969年、アメリカ映画、製作 ピーター・フォンダ、脚本 ピーター・フォンダ+デニ
ス・ホッパー+テリー・サザーン、監督 デニス・ホッパー。すでに何度か観ている
のであの衝撃のラスト・シーンは知っている。それゆえか、うら寂しい気分で観た。
悪い意味ではない。

一般人の異物(ヒッピー)を見る目がすごくいやらしい。『七人の侍』の百姓が、侍
を見る目とどこかしら似ているようにも思われた。一般人の方が社会的に強い存在で
あることがこの映画の悲劇性だと思う。

何度見ても、主人公たちがなぜマルディグラを目指すのか、私にはわからないまま
だ。それもまた彼らが望んでいる自由と同じで、意味などないのかもしれない。
posted by yu-gekitai at 12:24| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月15日

13日(遊劇体新年会。)

遊劇体事務所にて。スタッフさんに、ゲストは『なんじゃ主水』で出演の孫高宏さ
ん。17時半くらいからボチボチ呑み始めて、ああ、いつも通りの深更まで。

楽しかったですけれど、私、苦しくなって、明け方、ゲロ吐きしました。久しぶりで
す。
posted by yu-gekitai at 17:02| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月12日

11日(『イレイザーヘッド』を観た。)

winmail.dat
1977年、アメリカ映画、脚本+監督 デイヴィッド・リンチ。日本公開時に映画館で
観ているのだが、指折り数えれば43年も前、二十歳代前半でのことである。同時期に
観た『ストーカー』(アンドレイ・タルコフスキー監督)とともに、私の愛する生涯
ベスト2の美しい映画である。ベスト3にするならば、少し遅れて観た、やはりタルコ
フスキー監督の『ソラリス』が加わる。

『イレイザーヘッド』は(『ストーカー』も『ソラリス』も、だけれど)音楽もまた
素晴らしく、インダストリアルなノイズ音楽のさきがけでもあるだろう。サウンドト
ラック盤LPも、後にアメリカのレコード店で発見し、購入して日本に持ち帰った。

映画館ではパンフレットも購入した。今はどこにあるのかはわからないけれど、倉庫
のどこかにあるはずである。情報量の少ない、たいしたパンフレットではなかった記
憶があるけれど。

デイヴィッド・リンチ監督の『エレファントマン』が大ヒットしたので、その前作で
ある『イレイザーヘッド』が、あわてて日本公開されたように思う。カルト映画のな
かでも最高なその内容を知らずに配給契約したようで、公開前に、そのとんでもない
内容を知ることとなったであろう映画配給会社が、宣伝もせず人知れず日本公開した
ように思う。推測ばかりですみません。いや、『エレファントマン』をダシにした宣
伝はしていたか。

結局、単独でのロードショーでは無理との判断だったのだろう、もう1作品B級SF映画
との併映での公開だったように記憶しているのだが。そのもう1作品は、タイトルも
思い出せないくらいツマラナかった。実際、どうしても思い出せない。つまりは、そ
のツマラナイ映画を観に行って、ついでに観たのが生涯ベスト3になった『イレイ
ザーヘッド』だったわけである。

〈なめくじ酒場〉さん、上映ありがとう。何度見てもステキな、ステキすぎる映画で
した。『ストーカー』と『ソラリス』もやってください。

posted by yu-gekitai at 15:43| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月03日

2日のつづき(『七人の侍』を観た。)

1954年東宝映画、脚本 黒澤明+橋本忍+小国英雄、監督 黒澤明。

何度観ても圧倒的に凄い映画。百姓と武士との、結局は相いれない存在の虚しさ。ニ
ンゲンの狡さ、悲しさ、そしてやさしさ。志村喬さん演じる勘兵衛、宮口精二さん演
じる勘兵衛が、やたらとカッコいい。三船敏郎さんの菊千代さんがやたらと三枚目な
ところもまたいい。
posted by yu-gekitai at 15:53| 京都 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月02日

2日(次回作『微風の盆』の、メモにもならない覚書。)

winmail.dat
深夜2時に目が覚めてしまって、無意識のうちに布団の中で、『微風の盆』という芝
居について、モノガタリの流れだとか、枝葉となることども、そして演出のプランだ
とかを練り込んでいた。2時間くらいかけてラストシーンまで到達して、ラストの台
詞と絵について納得できるものが見つかったので、安心して、二度寝をしてしまっ
た。そして、もう今は、覚えていない。どうしても思い出せない。

新しい発見があった。

私の役者としての出番は、ほぼ無かった。登場人物5人でも充分にまかなえる。キャ
ストにはならぶことになるだろうけれど。

主人公の性格を大きく変えた。そちらの方が良いだろうと判断して。それによりラス
トまでの流れも変化したのだった。うん、なんとなく思い出してきたぞ。書き始める
までに、こういう時間をたぷりとアタマのなかで繰り返す。脳内劇場での上演と言っ
たらよいのかな。熟成させる、ってことかな。

登場人物、南から来た女マリア、場末の酒場に舞う夜の蝶、タカラヅカ男役のトップ
スター鳳れん、プロボクサーのカシヤス・クレイ、セーラー服の少女、伝承奥山音頭
名人。役名を並べただけで思いっきりアングラだなあ。でも、実は、俳優の演技にお
いては、いつもどおりのままだと思うので、だから、アングラじゃないんだ。やっぱ
り、どんな役を演じようともフェイク・リアリズムと様式性だな、遊劇体の演技は。

上演時間は70分以内が目標。5月1日くらいから書き始めよう。
posted by yu-gekitai at 09:21| 京都 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月01日

1日(謹賀新年。)

winmail.dat
あけましておめでとうございます。と、書き込みながら、はて、どなたに向けて新年
のあいさつをしているのだろうと、不可解な気持ちになる私です。

昨年は2作品も新作公演ができたし、幸せな年だったです。しかしコロナ禍が終息を
迎えつつあるとはいえ、物価高騰、政治家の悪徳の露見(そもそも信用なんかしちゃ
あいないけれど)など、私の住む国では、経済も政治も、なんだったら芸術も、最悪
に等しいです。外に目を向ければ、人間同士の殺し合い、領土の奪い合い、地球規模
での気候の急変など、もう最悪なことになっております。

私の住む国、住む星は、重篤な病に冒されているようであります。全治することはあ
り得ないでしょう。手遅れです。余命幾らか、です。せめて家族親類友人知人の健康
と幸せを祈るのみです。

今年の遊劇体は、7月に『微風の盆』という新作を予定しております。会場はいつも
どおりTheatre E9 Kyotoです。久しぶりにフェイク・リアリズムから遠ざかって、西
部講堂でやっていたころのような、(見た目は)いわゆるアングラ演劇に立ち返りま
す。(見た目は)と記したのは、それでもアングラじゃないと言い張りたいからで
す。アングラ劇団と呼称されるのに違和感を覚えるからです。

私を含めて劇団員のみの出演で、まだ台本に取り掛かっていない段階ですが、私もフ
ル出演の予定です。まあ、どうなるかは定かではありませんが。本年もどうぞよろし
くお願いします。

まだ年賀状は、一通もしたためておりませんです。
posted by yu-gekitai at 11:16| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする