2024年01月28日

23日(『白昼の通り魔』を観た。)

1966年、松竹映画、原作 武田泰淳、脚本 田村孟、監督 大島渚。犯罪をあつかった
ドラマだけど、ミステリーという感じはしない。犯人と、犯人と関係を持った2人の
女との、三角関係のひりひりする心理劇。農村と都会の対比、生き残る者と死んでゆ
く者。死を選びながら2度も生き残った主人公の、生命力の力強さが、戦後の日本の
新しい風景とつながるのかもしれない。

テンポの良い展開、カットバックの多用、異常なクローズ・アップ、モノクロ映像の
光と影、鏡の意味ありげな使用など、演出が尋常でない。
posted by yu-gekitai at 16:07| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

22日(『ミステリー・トレイン』を観た。)

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1989年、アメリカ映画、脚本+監督 ジム・ジャームッシュ、89年のカンヌ映画祭
で、最優秀芸術貢献賞というのを受賞している。

構成がオモシロく、3組の登場人物たちのそれぞれの出来事が、オムニバス形式で描
かれるのですが、各3つのストーリが同時進行しており、お互いに影響しあうという
カラクリ。ただ、ドラマとしては、そんな大した内容ではないように私は思った。

俳優として、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスやザ・クラッシュのジョー・ストラ
マーが出演しているし、音楽はラウンジ・リザーズのジョン・ルーリーだし、エル
ヴィス・プレスリー(工藤夕貴がファン)、カール・パーキンス(永瀬正敏がファ
ン)、サン・スタジオ(エルヴィスやカール・パーキンスが録音したスタジオ)など
も、ドラマのちょっとしたピースになってはいるし、音楽映画としての要素もある。
夜のメンフィスのうら寂しさに郷愁がつのる。

私は、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスがわりと好きでLPも持っていますが、「お
前を呪ってやるぜ」はカッコいいですし、「便秘のブルース」は爆笑もの。みなさん
(いったい誰?)、よかったら聴いてみてください。
posted by yu-gekitai at 15:03| 京都 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

21日(『全身小説家』を観た。)

1994年、疾走プロダクション、監督+撮影 原一男。キネマ旬報1994年度ベストワン
日本映画作品賞第1位。原監督の前作があの『ゆきゆきて、神軍』なわけであります
から、ある予感めいたものを感じながら2時間37分を観るわけです。その予感は徐々
にそこここに姿を現し始め、大きな疲労感とともに観終えることとなるわけです。オ
モシロい映画だった。だけど、もう一度観たい、とはならない、私の場合は。

主人公の不気味さばかりが漂い続ける映画なのだ。自分の経歴をフィクションで粉飾
して、自作の小説や詩の根幹の部分をそのフィクションに委ねている。業のきつい人
だなあと思うけど、そう思わされるのもまた〈嘘つきミッチャン〉によるフィクショ
ンに踊らされていることになるのかもしれない。私は小説家井上光晴は、好きになれ
ない、というより、怖ろしい。
posted by yu-gekitai at 13:01| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

16日(『イージー・ライダー』を観た。)

1969年、アメリカ映画、製作 ピーター・フォンダ、脚本 ピーター・フォンダ+デニ
ス・ホッパー+テリー・サザーン、監督 デニス・ホッパー。すでに何度か観ている
のであの衝撃のラスト・シーンは知っている。それゆえか、うら寂しい気分で観た。
悪い意味ではない。

一般人の異物(ヒッピー)を見る目がすごくいやらしい。『七人の侍』の百姓が、侍
を見る目とどこかしら似ているようにも思われた。一般人の方が社会的に強い存在で
あることがこの映画の悲劇性だと思う。

何度見ても、主人公たちがなぜマルディグラを目指すのか、私にはわからないまま
だ。それもまた彼らが望んでいる自由と同じで、意味などないのかもしれない。
posted by yu-gekitai at 12:24| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする