2021年08月02日

1日(劇団第一主義を観た。)

winmail.dat
 『死なない薬』作・岩橋貞典、演出+補綴・澤渡健太郎、未来ワークスタジオに
て。

 岩橋氏の戯曲は、え、それをドラマにするの? と私なんぞにはうかがい知れない
狂ったアイデア(もちろんほめコトバです)を、一見緻密な構造であるかのように装
いながら、ラストまで力業で引っ張ってゆく。よくわからないけれど、ポスト・モダ
ンという雰囲気もする。そしてたぶん、実際には緻密な構造の戯曲のような気もす
る。しかしそう思わせないのだ。どの登場人物にも感情移入できないので(たとえ
ば、被験者たちは、なぜここにきたのかが観終わってもさっぱりわからない)、観客
席で途方に暮れるのだが、観ているうちにオモシロいと感じはじめるのだ。作者の脳
内で醸成された、現実からは遠く隔離された悪意と皮肉のファンタジー・ゾーンに観
客も巻き込まれるということだろう。遊園地のアトラクションの中にいる感覚。遊気
舎時代の後藤ひろひと氏、クロムモリブデンの青木秀樹氏、そしてサカイヒロト氏と
似通った肌触りだ。私は、間違い勘違いもはなはだしいと叱られるのを承知でいう
と、そのうえ具体例も示せないんだけれども、80年代から登場し始めたニュー・ウェ
イヴのSFファンタジー系のマンガから生まれたテイストであるような気がするのだ。
ゆえにドラマに感情移入するのではなく、一定の距離を保ちつつのぞき込み、観察す
るようにその世界をながめるのが正解のような気がする。そう、そうするとこの戯曲
は俄然オモシロくなるのだ。

 実際、とても楽しい舞台であるし、大勢の、〈若い〉観客を呼べる作品であると思
う。ことぶきつかささんや、古田里美さんら、もう私はファンであると公言して良い
ほどリスペクトできる俳優さんたちや、そしてなにより、ってまたこれでしめるのか
よおって自身でツッコミを入れたくなるけれど、演出の〈正しさ〉は、特筆もん(次
からはあえて書かないようにする)。



 私のようなジジイがいう〈若い〉は、自分でも何歳ぐらいを指しているのかわから
ない。まあ、実年齢はカンケイなく、私より若い感覚の持ち主、ジャンプとかの週刊
マンガ誌を読んでいる世代というか、そんな感じかなあ。
posted by yu-gekitai at 10:46| 京都 ☀| Comment(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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