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1990年、イギリス映画、脚本+監督 トム・ストッパード、1990年ヴェネチア映画祭
グランプリ(金獅子賞)受賞作品。
1966年に初演された戯曲を作者自身が映画化。シェイクスピアの『ハムレット』を、
超端役で登場する(登場していないに等しいのだが)ローゼンクランツとギルデス
ターンのコンビふたりをを主人公にして、ドラマの裏側からみたら、という作品だ。
主人公のふたりの会話が、事情が呑み込めないままに無駄に(ということではないん
だろうけれど)進行してゆく。それがジョークだったり、ダジャレだったりするもの
で、ドラマに入り込むのがしんどい。原作が舞台作品だからだろう、台詞の洪水であ
る。哲学的なことを会話しているんだろうかと、ふと思ったりもするが、どうもその
主人公ふたりは、あまり利口ではない人物のようだ。
ストッパードについて調べてみたら、
「哲学的主題を扱う観念的なものであるが、言葉遊びと明瞭なユーモアと哲学的観念
が結合するところに特徴がある。駄洒落、ジョーク、その他さまざまな言葉遊びを組
み合わせた複雑なせりふ回しが、ストッパードの特徴である。また過去の作品のパロ
ディの愛用もストッパードの作劇法の特徴」
とあった。特徴、特徴と並べ過ぎじゃないかと思うが、うまいことその特徴をあらわ
していると思う。
で、映画の感想はというと、オモシロかった、となる。もう一度観たいと思う。台詞
は(あくまで日本語字幕での、だけれど)好きではないけれど、衣装や美術をはじ
め、アンサンブルを主体とした俳優たちの演技、演劇的な演出が素晴らしく、うっと
りと見惚れてしまった。『ハムレット』が土台としてあり、そのうえに映像美があ
る。
繰り返し鑑賞することによって、この映画のオモシロさが倍加してゆくのかもしれな
いという予感。
2023年12月30日
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