1994年、疾走プロダクション、監督+撮影 原一男。キネマ旬報1994年度ベストワン
日本映画作品賞第1位。原監督の前作があの『ゆきゆきて、神軍』なわけであります
から、ある予感めいたものを感じながら2時間37分を観るわけです。その予感は徐々
にそこここに姿を現し始め、大きな疲労感とともに観終えることとなるわけです。オ
モシロい映画だった。だけど、もう一度観たい、とはならない、私の場合は。
主人公の不気味さばかりが漂い続ける映画なのだ。自分の経歴をフィクションで粉飾
して、自作の小説や詩の根幹の部分をそのフィクションに委ねている。業のきつい人
だなあと思うけど、そう思わされるのもまた〈嘘つきミッチャン〉によるフィクショ
ンに踊らされていることになるのかもしれない。私は小説家井上光晴は、好きになれ
ない、というより、怖ろしい。
2024年01月28日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック