84年、アメリカ+西ドイツ合作映画、脚本+監督 ジム・ジャームッシュ。
ラウンジ・リザーズのサクソフォーン奏者、ジョン・ルーリーが主演と音楽(ただ
し、作曲された音楽はクラシカルな弦楽四重合奏)、元ソニック・ユースのドラ
マー、リチャード・エドソンと、たぶん映画デビューとなる新人(実は有名なアング
ラ劇団の演出家の娘さんだそうだ)の3人で奏でられるコメディといえばいいのか
な。愚かしくももどかしい恋愛ものといえるかもしれない。
モノクロで、ワン・シーンを忠実にワン・カットで、そしてカットごとにブラックア
ウト(舞台でいう暗転)して、時間を重ねてゆくという構成が、ステキだ。すぐにそ
のテンポが心地よいものになってゆく。3つのパートに分かれているので3幕ものと
いう感じである。
実は当時は素人だったはずの、俳優陣が素晴らしい。無駄な演技は一切していないの
に、雄弁に心情を語っている。ストーリーもシンプルだ。だからとても理解しやす
い。リチャード・エドソンはそのまま俳優に転向。ウィキペディアで調べると、アク
ター、ミュージシャンという順なっていて、俳優業の方がメインとなっている。
大作でもない、ドラマチックでもない、素朴ともいえるほどシンプルな作り。しか
し、つくづく良い映画だと感じ入った。
5年後の「ミステリー・トレイン」に俳優としても出演することになるスクリーミ
ン・ジェイ・ホーキンスの、1956年のヒット曲で、スタンダード・ナンバーとなって
いる「お前を呪ってやるぜ(私が勝手にそう意訳しているだけで、I put a spell on
you という曲名です」が、テーマ曲として流れているのもうれしい。
2024年02月27日
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