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『いかけしごむ』作・別役実、演出・沢渡健太郎、スタジオ・ガリバーにて。
別役さんの芝居はムツカシイ、ということが、小劇場の世界では定説になっているら
しい。私も、そんな言説を聞いたことが確かにある。でも、なぜか演ってみたくな
る。そんな戯曲なのだろう。あ、こんなことを書いている私は、役者デビューが『堕
天使』。それから『雰囲気のある死体』を養成所の発表公演で演出したこともある。
どんなに手強いかは経験済み。たくさんの残念作も観てきた。
沢渡さんの演出は、さすがに手堅く、戯曲に張り巡らされた陥穽からは巧みに逃れて
いて、観やすかった。そして、わかりやすかった。この戯曲をして、わかりやすかっ
た、と言わしめるということは、別役作品演出の、まれな成功例といってよいのかも
しれない。
ああしていればダメだったろう、こうしてしまったら散々なものになったろう、とい
う次元からは軽々と飛翔してみせてくれた。
2024年03月11日
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