2024年08月19日

18日(『東海道四谷怪談』を観た。)

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監督・中川信夫、原作・鶴屋南北、脚本・大貫正義+石川義寛、59年新東宝。

私が小学生の頃、お盆のころには、テレヴィで怪談映画がよく放送されていた。『東
海道四谷怪談』も、小学生の頃にテレヴィで見た記憶がある。戸板返しなどの怖ろし
いシーンもだけれど、ラスト近くでの、天地茂の伊右衛門が川辺で大立ち回りをする
シーンが、いちばん記憶に残っていた。

白黒テレヴィで見たけれどもカラー映画だった。

翌60年には中川信夫監督は、あの異色大傑作『地獄』を作っているが、『東海道四谷
怪談』も、大傑作だった。歌舞伎の様式美を意識させる演出と、優柔不断で周囲に流
されるような若者である伊右衛門の人物描写が素晴らしく、ただの怪談映画ではない
深みを与えていると思う。ラストまで劇中の立ち回りは極力省略されているのに、記
憶に残っていた川辺での大立ち回りは、凄い大迫力の、狂気の演技だった。この流れ
も演出者の計算によるものに違いない。ほかにも素晴らしいシーンはいくつもあっ
た。天井のお岩さん、オレンジ色に発光する水、追いすがっても逃げる仏壇などな
ど。

私ごときがいうのもなんだが、ただひとつ、残念なことがあった。随所に生きたシマ
ヘビが生々しく登場するのだが、生きている、というエナジーを発散しぎるのだ。鏡
花さんの作品で勉強させていただいたおかげで、ヘビの登場する意味は察することが
できるけれども、水のオレンジ色の発光やお岩さんや卓悦の幻影という処理の方が、
私好みだな。私ごときがスミマセン。ヘビがキモチワルかったのです。シネ・ヌー
ヴォにて。
posted by yu-gekitai at 09:16| 京都 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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