2025年09月01日

30日(劇団コーロを観た。)

winmail.dat
『モモ』原作・ミヒャエル・エンデ、脚色+演出・棚瀬美幸、クレオ大阪南にて。

私が大学生だったころ、クラス内で、「『モモ』読んだ?」なんて会話があった。な
んせ文学部だったもので。ベストセラーだそうで、耳にする評判も高かった。箱入り
のステキな色合いの本を買った。読んだ。私の感想は、ツマラナイ、だった。『星の
王子さま』とは比べるべくもない。なんでこれがほめられるんだろう、と思った。筒
井康隆(私ン家の遠縁にあたるそうだ)や都筑道夫さんがひいきだったころだ。作者
エンデの思想は理解できるし少しは共感もできる。でもモノガタリは、ストーリーを
運ぶためのご都合主義のようで、作者が短い文章で示した方がわかりよさそうなもの
だ、と思った。本は読み終えてすぐに古本屋で換金した(か、友人に進呈したか、
だ)。本棚に並べておく気にもならなかったのだ。

そのモノガタリが原作の舞台。

舞台は6枚の出入り自由な白っぽい布が、ゆるやかなアールを描いて客席を向いてい
る。それが影絵を写したり映像のスクリーンにもなったりする。歌があり、ダンスが
あり、人形操作がありで、視覚的にも楽しい。音響の使用も秀逸で、70分の上演時間
にリズムとテンポを与える。異世界を彩る照明の美しさは、舞台そのものをインスタ
レーション作品として機能させたといってよい。俳優はモモ以外を5人で22役演じわ
ける。盛りだくさんである。観るべきものはたくさんある。しかしドラマの柱が伴わ
ないような気がした。ストーリーの優位性に甘んじてしまっている。本を読んだ時と
同様の感覚。それはひとえに私と『モモ』との相性の悪さの再発見であった。

俳優ではモモを演じたみやちともこさんの無垢でしなやかな演技に魅かれたが、6人
全員がほめられてよいと思う。

「遊び」や「モノガタリ」をするニンゲンとしての時間、なんて台詞があったと記憶
しているが(あいまいです。すみません)、観客席にいる時間こそがそれであったと
思うし、その時間を与えてくれたこの作品には謝意を示しておきたい。特に、俳優6
人という少人数での見せ方に、大変な困難と苦労が伴ったであろう脚色演出の棚瀬美
幸さんとスタッフのみなさん、お察しします。ご苦労さまでした。
posted by yu-gekitai at 10:52| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | キタモトのひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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