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『歌姫』作・宅間孝行、演出・井之上淳、谷町劇場にて。
こんなヤツいてへんやろ、とか、こんな反応はオカシイやろとか、ツッコミどころが
多い台本だが、作者独自の美学がそうさせているのだと理解することにした。吉本新
喜劇の文芸版(文学版ではない)ということだろう。
中堅から若手俳優、プラス新人3人を配したキャスティングが見事。そのなかにどー
んと一枚、尾崎磨基さんを据えて、若手劇団にはないバランス感覚を保っている。扇
の要に尾崎磨基さんを据えることで若手俳優にとっても、大きな安心感を持たせるこ
とができただろう。さてこの舞台のイチバンの感想は、俳優陣の充実、ということに
尽きる。パワー重視のストレートな演技で単純な人物造形であるのだけれども、全て
の登場人物が、愛せるのだ。そもそもこの、愛せる、という感覚の所在は、戯曲にあ
るのか、演出者のプランにあったのかはわからないが、俳優たちがこのお芝居が好き
で好きでたまらないという気持ちがしっかりと伝わるし、きっと素晴らしく良い稽古
場での時間だったのだろうと想像させられる。とくに勝村愛さんの進境著しさをここ
に書き留めておきたい。
私ごとになるのだけれど、出演俳優14名のうち、新人の方ひとりを除いた13名の方
と、かつてご一緒させていただいたことがあることに驚きと感慨。その節はお世話に
なりました。みなさんの熱い演技に私の胸も熱くなりました。そして宅間氏の戯曲に
も、まんまと乗せられました。悔しいけれど熱いものがこぼれ、ませんでしたが、決
壊寸前でおました。
空間をうまく使い切った舞台美術もほめられてよいだろう。
劇団五期会の若手俳優の充実ぶりは、今後の劇団の躍進を大いに期待させる。
2025年09月02日
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